スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
でもそれすらもいつも通りの私達の空気になって、心地がいい。
この国の国王と庶民である私が結ばれる可能性は、ほとんどないに等しい。
それでもこの想いを伝えることで何か変われるとするなら、私はレイに向ける愛を捨てたくない。
「っ……!いっけない!私、帰るつもりでいたからこんな格好じゃない!部屋に戻ったらユツィーに笑われるかな……嫌でも……!」
「君の友人なんだろう?何を迷う必要があるんだい?」
「またねの約束を果たしに来たって言えば、それはそれでいいんじゃない?」
「そうよね!私の友達だもの!!って何笑ってるのよ二人共!」
肩を揺らす二人に釣られて、弾けるように笑った。
気持ちを伝えた後の結果はどうなるか分からない。
でも、もし悪い結果に転がったとしても、私の大切な友達が母が笑って迎えてくれるからそれでいい。
「じゃあ、城に戻って――」
「ルフィア様ッッ!!!」
意気込む私に、突如叫び声に近い声が降りかかった。
バッと勢い良く後ろを振り返ると、ざわめく周囲をものともせずに馬を走らせるカイルさんの姿がそこにはあった。
肩を上下に揺らすほど息を切らして、強ばった表情で私の元へと近づいてくる。