スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
守りたい人
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カイルさんが教えてくれた近道のお陰で、普段に比べて早く城に辿り着いた私達は、すれ違う人を他所に勢い良く走る。
案内されるよりも先にレイの部屋へと向かい、ハイネを部屋の前で待機するように指示し、扉を開ける前に気持ちと呼吸を整えてから扉を叩き中へと入る。
蝋燭が照らす薄暗い部屋の中で、城の医師が寝台の横で顔を歪ませながらレイの状態観察を行っていた。
邪魔にならないようにレイの近くへと近づくと、ようやくこちらに気がついた医師が静かに寝台から離れる。
「レイの状態は、大丈夫ですか?!」
「体内を侵食していく毒の種類が分からない限り、解毒剤が投与できない状況です。今は何とか陛下ご自身の免疫力で、持ち堪えている状況でして……」
「……っ」
魘されるレイの額には汗が浮かび上がり、荒い呼吸で何とか肺に空気を送り込んでいる。
「犯人は見つかりましたか?!」
「カイル様……それがまだとの報告です」
遅れて部屋に入ってきたカイルさんは医師の返答に怒りを堪えきれず、握りしめた拳を壁にぶつけた。