スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
鈍い音と、レイが頑張って呼吸する音が微かに響く。
何もすることが出来なかった医師は、この状況下に息が詰まったのかそそくさと退散していく。
「くそっ犯人が逃げる前に捕らえなければ……」
「カイルさん、まずは落ち着いて下さい。私、レイの庭園で微弱だけど解毒剤になる薬草が育っているのを見たわ。まずはそれを飲ませましょう」
「何度も何度も取り乱してしまってすみません……ルフィアさん、その薬の調合をお願い出来ますか」
「もちろんです。セドリック、ちょっと手伝って」
「友の為なら何でもするよ」
状況を打開する方法は、今現在はない。
なら、状況が悪化することをまずは防がなければと体が勝手に動く。
レイが大事に育て上げてきた庭園の薬草を積みに行き、セドリックに指示を出しつつ手際良く薬を作っていく。
こうしている間もレイは懸命に身体に回る毒と戦ってくれていた。