スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 何とか出来上がった薬をお湯で溶いて、むせないように少量ずつ舌の上に垂らす。

 呼吸状態が悪い今、一気に飲ませて気管に入ったらそれこそ死へと繋がりかねない。

 慎重に看病を続けて、気がつけば窓の外は夜が支配していた。

 最後の数滴の薬を飲み込んでくれたレイは、徐々に苦しみから解放されていくように、呼吸が落ち着いていく。


「ふう……これで少しは楽になってくれたかな」

「大分険しい表情が緩和されているように見えるよ」

「ただちゃんとした解毒剤がない限り、毒は消えない。どうにかしなきゃ……」


 私が看病している間に、カイルさんはこの緊急事態の会議へと出席し、犯人の足取りを追ってはいるものの、その手がかりを探す段階で困難を極めているとさっき連絡が入った。

 それに加えて、ユツィーも犯人候補に上がって牢屋に入っているという。

 打開策は何かないかと考えていると、部屋の扉が叩かれ厳重な装備のユートさんが入ってきた。


「ルフィア様、治療はどうですか?」

「まだ少し掛かりそうです。ごめんなさい」


 レイの部屋の前にはユートさん達騎士団が警備を始め、治療が終わり次第、私は部外者扱いになるからこの部屋から追い出される形になるらしい。




< 196 / 237 >

この作品をシェア

pagetop