スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「そ、その手紙にはなんて書いてあるの?!」
急に慌てる様に手紙の内容を読むように催促してきて、悪いと思いながらも手紙を読む。
「……」
「ルフィア?」
シュマとの一連のやり取りをただ見守っていたセドリックも、手紙を読む私の表情が険しくなったのを見兼ねて声をかけてくる。
「その手紙は?」
「……犯人に繋がる手がかりよ。レイの解毒剤を渡して貰えるかもしれない」
「や……めろ……」
「っ……!」
寝台を見れば、何とか意識を繋ぎ止めているレイが掠れた声を振り絞って、目を開けるのも辛そうな顔をしても尚、私の手を掴もうと手を伸ばす。
「レイ……!」
「行く、な……ルフィア……こんな毒どうってこと、ないっ……から……頼むっ、行かないでくれ……」
伸ばされた彼の手を取って、優しく撫でる。
氷のように冷たい手に私がすべき事を冷静に考えられた。
「貴方はこの国を背負う、代わりのいない国王なのよ。それに比べて、私はどこにでもいる田舎娘。天秤に掛ければ、どちらを優先すべきかなんて一目瞭然でしょ。私は大丈夫だから、貴方はここで私の帰りを待っていて。必ず解毒剤を持ってくるから」
「……ルフィア」
「大丈夫。私の髪は幸せを導く色だから、絶対に幸せを運んでみせるわ」
掴んでいたレイの手に頬を擦り寄せてから、そっと寝台に戻した。