スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
私の変わらない意思に対抗する手段はないか考えるレイだけど、体はもう限界を迎えたようでまた意識を手放していく。
「セドリック。レイをお願い」
「ルフィアはどうするんだい」
「解毒剤を犯人から受け取ってくる。私一人で来るようにって指示されているから、着いてこないでね」
「危険だ!ルフィアの身に危害が加えられたらどうする!!」
長いことセドリックと交流を続けてきたけれど、初めて剣幕を見せる彼に一瞬だけ怯む。
だけど私の気持ちは揺るがない。
「好きな人を守りたいって思うことが、そんなにおかしい?」
「そう言っているわけじゃ……!」
「セドリック。私を普通の女と同じにしないで。運命を抗うための力を私は持っているのよ」
真剣な眼差しでセドリックを見つめていると、まだ食い止めようと動く彼だったけれど、部屋の扉が叩かれる。
この部屋に入れるのはどうやらここまでのようだ。
「ルフィア様、失礼ですが退室を命じます」
「はい、すぐに退室します。ただ――お願いがあります」
「一体どのような?」
「この事件に関与不可能であるセドリックと、ハイネはレイの部屋の近くに置いてください。何かあった時に対処できるように、二人には近くにいて欲しいんです」
「……分かりました。こちらの監視下には入って頂くことを条件に願いを聞きましょう」
感謝しますと頭を下げて、私はレイから離れるように部屋の外へと足を動かす。