スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
裏切り者の正体
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夜も更けてきたからもあるのか、それまた緊張から来るものなのか……体の熱が持っていかれる。
走って指定された場所へと辿り着き、上がる息を整えながら中々温まらない身体に喝を入れる。
怯えるな、震えるな。
この間にレイが遠くへ行ってしまったら……なんてこと考えるな。
怪しげな月明かりが照らし出すのは、昼間訪れた神殿。
神様を祀るこの神聖な場所で対峙するなんて、よっぽどな人格者の犯人らしい。
「ルゥッ、ここ何か様子がおかしい……」
「シュマ、貴方なんでそんなぐったりしてるの!」
「魔力が保っていられない。いざって時に出てこられる様に魔法石の中に一度入るよ……ごめん」
「分かったわ。無理しないで」
プレートの中に入っていくシュマを見届けてから、辺りを一度見渡した。
昼間見た景色とは違った、夜に包まれた街はガラスランプのように煌めいている。
こんな素敵な国を作り上げてきたレイを傷つけるなんて、許しはしない。