スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
だけど直ぐに体勢を整えたラジール王子は、再び私に短剣を構えて襲い掛かってくる。
シュマがもう一度私を庇うように前に出るけれど、本能が間に合わないと警告を鳴らす。
彼を魔法石の中に強制的に戻して、両腕で顔を庇うように構えるしかできない。
神様はいつも私を味方してくれなかった。
そんな運命……私は望まない。
抗え、抗えと胸から熱い何かが湧いて出てきた次の瞬間――。
「つぅ……!」
何かがラジール王子にぶつかった、そう分かるのと同時に霧を切り裂く程の稲妻が私達の間に落ちた。
その稲妻には似合わない、ふわりと綺麗な白い毛が視界を包み込む。
足元に転がってきた、いつぞやの私が魂を宿した小石がピョンピョンのその場で跳ねていた。
そして……凛としたその声が私の鼓膜を大きく揺らす。