スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
その代わりに二人の腕を取って、照れくささを噛み殺しながら気持ちを伝える。
「二人とも、心配してくれてありがとう」
改めて面と向かって気持ちを伝えるのが、こんなにもむず痒いものだとは知らなくて、二人の反応を待たずに朝食を促した。
「私お腹空いちゃった!」
「ふふっ。では私特製のふわふわパンを食べましょうか」
「うん!」
またこうして穏やかな時間を過ごせるということに幸せを感じていると、部屋の扉が叩かれる。
誰だろうと思って首を傾げて扉を開けると、そこには一晩で痩せこけたカイルさんの顔があった。
「おはようございます……ルフィア様」
「カッカイルさん?!大丈夫ですか?!」
「あははは、それはもうすこぶる絶好調ですよ。……色んな意味で」
あまりの顔色の変化に驚いていると、私の部屋の中にいるレイの姿を見つけて彼の目に闘志が宿った。
「良き朝でございますね……レイ様。毒が身体に回っているから暫くは安静にする、と仰っておりましたのに、部屋に訪室すればそこはもぬけの殻……。もしやと思ってここを訪ねましたが――なるほど。そういう策略でしたか」
「カイルッ!は、話せば分かる!とりあえず、その手に持ってる書類の角をこちらに突きつけるのはやめろ!」
「もう逃がしませんよ……今回の件が片付くまで、ルフィア様には一切会わないよう、徹底させてもらいますからね!!」
失礼しますと申し訳なさそうにしながらも、部屋に入ってレイの胸ぐらを掴んだかと思えば、そのままにこやかな笑みを浮かべて部屋の外へと引きずり出していく。