スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
絶対にラジール王子から逃れようと必死で、後先考えずに抵抗することしか考えてなかったし。
「王様が来てなかったら、今更またへんてこりんなスキル獲得してたよ。薄々勘づいてたでしょ?」
「うーん、そんな感じもあったかもしれない」
「はあ……そのスキルのせいで、また泣き言に付き合わされるボクのこと考えてよ?次は絶対慰めてやらないから」
「まっ!何がともあれ、今こうして皆と会えているんだもの。結果が良ければ全て良しよ!」
「そうですね。冷めないうちに朝食を食べましょうか」
クスクスと笑うユツィーは楽しそうに椅子を引いて、私が座るのを待っている。
席に着けば、食欲をそそられる朝食が並んでいる。
当たり前の日常がまたこうしてやって来ることに幸せを感じながら、美味しいパンを口いっぱいに頬張った。
「そう言えば、ハイネは?」
「言われてみれば、昨夜ここにマスターとルフィア様が戻ってきた時から姿を見てませんね」
「どこ行っちゃったんだろう……」
「マスターにあれこれ手伝わされているのかもしれませんね。時間がある時に聞いてみましょう」
最初はレイにも威嚇してたけれど、何やかんやでハイネもレイの優しさに打ち解けていったみたいで良かった。
ユツィーの言う通り、もしかしたらレイの手伝いをしてるかもしれないと気持ちを切り替えて朝食を摂った。