スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
レイとの時間もまたすぐにやって来るだろうと思っていたけれど、事態は中々に深刻なようだった。
捕まったラジール王子は強者のレイを前にして、これ以上痛い目に遭いたくないと洗いざらいこれまでの事を話したらしい。
敵国シェルバムの先代の王様は、長きに渡り床に伏せていて現在王の座は不在の状態。
誰が国を動かしていくかと王位継承者争いで城内が荒れている真っ只中、ラジール王子が【混沌の惑わし】というユニークスキルで周囲の人々を操り、政治やら戦争なんかを好き放題行っていたという。
横暴な行いを阻止しようと動いていたのがラジール王子の兄である、第一王子のフィール王子だったらしいけど、そのフィール王子は失踪している状態。
今後の国と国との交友関係をどう進めていくかの話し合いの場を設けたいにも関わらず、国を動かす者が不在となれば話は一向に進まない。
……と、カイルさんが会えないレイの代わりに全てを伝えてくれた。
厳しい見張り役が付いているレイは日々問題解決に向けて仕事をこなしているみたいで、会う機会はやって来ない。
「会いたいなあ……」
レイの庭園で作業しながら、空を仰ぎぽつりと呟いた。
私と会うとレイの作業効率が落ちるということで、事が収まるまで会うことを禁止され我慢することもう三日が過ぎた。
ハイネもレイの傍にいるのかどうかも確認が取れないし、事件当日に言われたことに対して色々と聞きたいことが山ほどあるのに……。