スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
私達の反応が明らかで、面白いのかくつくつと喉を鳴らして小さく笑う師匠は堪えきれなくなって弾けた笑いを響かせる。
「はあーあ!信じきれてないその目、面白いね。いいよ――あたしの力見せてあげよう」
笑いを吐き出し終わってスッキリしたのか、真剣な眼差しでレイを見つめる。
思わずごくりと唾を飲み込んで、妙に緊張感が漂う空気に飲まれないようにするのに必死になってしまう。
私の傍から離れるようにレイの元へと歩み寄った師匠は、顎に手を添えて首を捻る。
「随分と古びたまじないだね。まっ、私にかかればこんなまじない、いとも簡単に――」
師匠の手から光が放たれるのと同時に、風が地面から吹き上げる。
師匠が指を軽やかに鳴らし、僅かに空気が変わった……そんな気がした。
――次の瞬間。
「感謝致します、アルドネ様。晴れて人間の姿に戻ることが出来ました」
レイとカイルさんの後ろから、その清々しい声は聞こえてくる。
そこに居たはずの白いモフモフは……もうどこにも居ない。
「「ええええええっ!?!?!」」
どこまでも響き渡る私達三人の声は、城内の隅々まで響き渡ったのだった。