スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜




 問答無用にそう本音を言えたらいいけれど、立場上そんなこと言えるわけもない。


「あの日……ルフィアが僕のことを見つけてくれなかったら、僕は今頃死んでいた。国同士のぶつかり合いも大きくなって、取り返しのつかない所までいっていたかもしれない。本当に、ルフィアには感謝してもし切れないくらいだ」


 深々と頭を下げるフィール王子に慌てて、彼の肩を掴んだ。


「そんな!フィール王子、頭を上げてください!」

「――ようやく自分から僕の元に来てくれた」

「えっ?……きゃっ!」


 突然フィール王子が腰をぐいっと抱き寄せてきて、バランスを崩した私はそのまま彼の胸へと飛び込んでしまう。


「いつもの様に、ハイネって呼んでくれないかな?」

「でも、貴方は王子様で!」

「ううん。君からもらった大事な名前だ。これからも、愛称代わりにハイネって呼んで欲しいんだ」

「……っ」


 瞳を潤わせて見つめてくる彼に、心臓がドキリと跳ねる。



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