スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ああ〜〜モフモフハイネだったら、絶対自分から抱きつきに行っちゃってたんだろうなあ!!
過去の自分の行いが恥ずかしくて、でも目の前にいるフィール王子からの要望を訴えてくる瞳が眩しくて。
「……ハイ、ネ」
「うん。君からはそう呼ばれたい。だって僕達の秘密の関係――でしょ?」
謎の含みのある笑みは、完璧な輝かしい王子様のオーラだ。
そんな彼にくいっと顎を持ち上げられ予期せぬ事に思考停止していると、無理やり何かに引き剥がされた。
「こんっの獣が。人間に戻ったんなら、理性というものを働かせろ」
威嚇するようなドスの効いた声が聞こえたかと思えば、ぎゅうっと力強く抱きしめられる。
その力の込め方は大事なものを守るように優しく、だけど不器用。
「まったく……その強引さがあるなら、ちゃんとルフィアを捕まえておかないと、僕が取っちゃうよ?レイバート王」
「何を言われようと、お前には絶対にやらん」
「ルフィア、この人に飽きたら僕の所に来ていいからね。また沢山僕のこと抱きしめに来ていいからさ」
ひらひらと手を振りながら中へと戻っていく彼を見送り、抱きしめられているこの状況をどうにか脱しようと頭を使う。
だけどその優しい声が振りかかれば、思考なんてすぐぐちゃぐちゃになる。