スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
気がつけば先程までいたバルコニーはもうどこにも無くて、シャンデリアが煌めく大きな広間全体が見渡せる玉座の前に立っていた。
すうっと息を吸い込んだレイは、そのまま力強く宣言した。
「我が名はレイバート・グラトリウス!今日この場で、ルフィア・エンリックを正式に我が妃として迎える!」
最初に出会ったあの日とは違う黄色いざわめきが、広間全体を埋め尽くす。
どこからか拍手が聞こえてきたかと思えば、また一つまた一つとその拍手は大きく響き渡っていく。
「そして、我が弟――リーン・グラトリウスの病状も安定してきた。弟は、我々の隣を支えてくれる頼りになる存在になるだろう。どうか温かく迎え入れて欲しい」
隅から出てきたのは、離宮で見たあの少女。
だけどあの日とは違って、凛とした顔立ちで正装に包んだリーンさんは……まるで男で。
男で……??
「リーン・グラトリウスです。長い間兄上に助けて頂いた分を返せるよう、務めて参ります。これからのセリオリア王国の幸せのために、僕は全力を尽くします!」
空間にこれでもかと言うほどの歓声と拍手が響き渡り、沢山の笑顔が咲き誇っていた。