スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ハマった恋愛小説にも、キスの描写は確かにあったけど……そんなの浅はかな知識でしかない。
というか、知識と呼べる心強いものなんかじゃない。
訳も分からないこの状況で一人ぼっちな私。
近づいてくる男性に思わず身を震わせて、ギュッと目を強く閉じた。
「おい――」
不意に肩に触れられて、ビクリと身体が勝手に反応してしまう。
そんな私に何故かため息が降りかかり、寝台が微かに揺れた。
ああ……これから先、私どうなっちゃうの?
構え方も分からず、身を縮こませるしかない私に再び男性の声が耳元で聞こえてきた。
「お前が下敷きにしている、その服を取りたいんだが?」
「え……」
恐る恐る目を開けて、自分が座る寝台の上を見渡した。
ドレスの裾から覗く黒い布を見つけて、私は慌てて立ち上がる。