スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「私は、その……大丈夫ですので」
上裸見ちゃったけど、特に何かされたわけでもない。
どっちかっていうと、私という田舎娘がこんな場所に居ていいのかということの方が大きな問題だ。
だって、この人――。
「レイバートー!探したよー!」
もう一人この部屋へと走ってきたのは、今回の主犯といっていいセドリックだった。
彼が口にした名前に、私はさっき浮かんだ一つの答えが正解だということに気づき、慌てて頭を垂れた。
「レ、レイバート様!私も御無礼をお許し下さい!」
あの紋章を見て、どうして王族だと直ぐに分からなかったのか。
王様の上裸見て、勝手に変な妄想までしてしまった自分が恥ずかしい!
その上、冷酷非道と恐れられる王様を目の前にして、礼儀の一つもなってない姿を見せてしまったのだ。
あんな愚行に対して、処罰されるのが当たり前……のはず。
やってしまった……と震えそうになるのを我慢していると、レイバート様は私の元へとやって来ると顔を上げるようにと声を掛けてくる。
「っ……」
顔を上げるや否や、レイバート様の顔が間近に迫っていた。
綺麗な顔に思わず目を逸らしたくなるけれど、それを許さないと彼の瞳が訴えてくる。
「今日からお前は俺の婚約者だ。そんな堅苦しい態度は必要ない」
言われた言葉を理解出来ずにいると、力強いのにどこか優しくリードされて、私はレイバート様と共に部屋のソファーへと腰掛ける。