スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 右肩に触れるレイバート様の温もりが、異様に熱く感じてしまうのは、この場にいるという緊張感からなのだろうか。



「お前からも話しておくことがあるんじゃないか?セドリック」



 部屋に入ってきてからというもの何一つ行動せずに、壁際で嬉しそうに微笑むセドリックは、レイバート様に声を掛けられ、軽やかな足取りで私達の前へと座る。



「いやあ、なんか仲睦まじいなあって。そのまま本当に結婚しちゃえばいいんじゃないかい?」


「馬鹿を言え。無理やり連れてきた挙句、知らぬ男と婚姻するなど、誰が承諾するか」


「まあ、それもそうか。ごめんね、ルフィア。色々と混乱してるよね」



 いつもと何も変わらない様子で話しかけてくるセドリックは、本当にすまなさそうな表情を浮かべて小さく頭を下げた。



「レイバートの頼みだったから、どうしても断れなくて」


「……貴方、私がこうなる事を知っていたの?」


「うん。最初からあの場でレイバートが君を婚約者と迎え入れることを知っていたよ」



 婚約者……その言葉に戸惑いを隠せない。


 王様の婚約者ってなったら、将来的に王妃ってことよね?


 何を馬鹿げたことを言っているのかと、レイバート様にバレないようにセドリックを睨む。



「大丈夫。形だけの婚約者でいいんだ。レイバートもそれを望んでるから」



 隣に座るレイバート様の顔を見たかったけど、放たれるオーラに本能が見るなと言う。


 でも、一つだけ確かめたいことがあった。


「どうして……私、なんですか?」



 貴族の令嬢でもない、王族とは無縁な私が婚約者に選ばれたのか。






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