スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「要約するとね。魔法馬鹿のこの国王様は、婚約者を見定める見合いなんかに、自分の魔法を研究する時間を削られたくない思いでいた。そんな時、久々に再会した僕の口から、欲していたスキルを持つ女性の話が出た」
「……それで?」
「その子をとりあえず婚約者として迎え入れて、見合いの話は全て帳消しにしよう、という作戦が生まれた。その作戦が決行されたのがついさっき、ってわけ。これから君は婚約者として、この城でレイバートとの生活が始まるんだ」
なんとまあ横暴な……。
話は何となく理解したけど、この二人がグルだったということに驚きを隠せない。
頭を抱えたくなる出来事に、目の前に座る男はニコニコ笑っている。
「この婚約は期限を設けるつもりでいる」
真剣な声にレイバート様に視線を戻すと、さっきまであれだけ私の事を見てきた癖に、視線を逸らされた。
「新たな魔法が完成したら、この婚約は解消するつもりだ。それに加え、俺の私情に巻き込んだ詫びとして、何か見返りがあるなら応えるつもりでいる」
少しバツの悪そうな顔は、子供が親に怒られた時の表情とどこか似ていた。
「その見返りに、僕は新しいスキル〖魅力無効〗の上書き方法を探してもらうのはどうかなって思うんだ」
「上書き?」
そんなものがあるのかと首を傾げる。
師匠も魔力に長けた人だけど、そんな方法があるなんて一言も言ってなかったのに。