スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「ほう……スキルの上書きか、面白い」
「で、でも!私、店の事とかもありますし!」
ここは自分の意見も賛成で、満場一致の空気を生み出してはいけないと、帰りたい気持ちをやんわりと放つ。
「ああ。それなら、ここに来る前に手紙出して、許可は貰ってるから安心して」
セドリックは懐から、師匠の文字で『許可する!』と書かれた手紙を突き出してくる。
あの師匠……また私が振り回されるのを見て楽しんでっ……!!
「決まりだな。そういう訳だ、カイル。婚約者は決定だ。文句はもう言わせないぞ」
壁際で頭を抱えて今までの話を聞いていたカイルさんは、もう言葉も出なさそうだ。
そんなカイルさんに哀れみの目を向けていると、レイバート様にそっと手を握られた。
「よろしく頼むぞ。俺のルフィア」
どこか挑むような声で言われて、心臓がうるさくて仕方ないのを、どうにか隠すので必死だった。
これからの生活がどうなるのか、そんなこと考える余裕は今の私には持ち合わせてもいなかった。