スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「……や、いや、嫌っ!!!!」
朱殷色に染まった自分の手から、溢れんばかりの血が地面にまで広がっていた。
心拍が早くなり、恐怖と痛みで呼吸が荒くなる。
――嫌だ……死にたくない!
状況を把握した私は、ひたすらにそれだけを願った。
でも、こんな人気のない場所で助けなんかくるわけないと、絶望が織り交ざる。
遂に恐怖が私を支配して、目から大粒の涙が流れた……その時。
真っ暗な人の寄り付かない森で、足音が近づいてきた。
これ以上、何を神は私に試練を与えるのかと恨む気持ちで、足音がする方へと視線を動かし――。
新しい玩具を与えられたような、満面の笑みを浮かべている、それと目があった。
そして――。