スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
遠慮がちに一番動きやすそうなドレスを手に取って、着替えを済ませる。
庶民の私に合わせてか、ドレスは一人でも簡単に着ることのできるものが多くて、ちょっと安心する。
レイバート様の従者のカイルさんの配慮だろうか。
あの人も何かと振り回されてるようだったし……少し仲良くなれそうな気がする。
そんな事を思いながら、鏡の前で確認してからそっと部屋の扉を開けた。
与えられた部屋はリビングと寝室に別れていて、部屋での生活は基本ここでするようにと言われている。
自分だけの時間が過ごせる空間があるのは有難い。
そう思っていたのに、視界に飛び込んできた光景に目を見開いた。
「レ、レイバート様……?」
リビングの真ん中に備えられた長椅子に頬杖しながら、目を閉じる綺麗なお顔がそこにあった。
私の声に反応したレイバート様は、すぐさま立ち上がり私の元へとやって来た。
「こんな時間にどうした。ゆっくり休めと言っていただろう……寝れなかったのか?」
眉間にしわを寄せて威圧的な空気を放つレイバート様に、慌てて頭を下げる。
「す、すみません……!」
「謝れとは言っていない。寝れなかったのかと聞いてるんだ」
私の反応に少し不満そうな表情を浮かべたレイバート様は、手を伸ばしてくると優しく頬を撫でてきた。