スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
私は実験台じゃありません
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朝露に輝く庭園に咲く白と青の二色のロマンテと呼ばれる、この国でしか咲かない綺麗な花々が、色鮮やかに咲き誇っていた。
朝早いこともあって、人の姿はほぼない。
警備が手薄なのは、ちょっとどうなのかなって思ったけれど、注目を浴びずに歩くことがなかったので、とりあえず気にしないことにした。
何でもここはレイが管理している庭園らしく、人は寄せ付けないようにしているらしい。
国王が庭園を管理してるなんて、冷酷非道という言葉が似合わなすぎる。
手入れが行き届いたこの庭園にはロマンテ以外にも、見たことの無い薬草もあって、心が踊っていた。
師匠の元で手伝いをしているのもあって、師匠程ではないけれど、それなりに薬草の知識はあるつもりだった。
でも見たことの無い色や形の薬草が、庭園で我こそはと栄養を吸収していた。
「すごい数の薬草なのに、その薬草に適切な土と水を用意するなんて……」
心の声が漏れていることにも気づかずに、私は庭園で育つ薬草や花々に夢中になっていた。
「ここまで育てるのに時間は掛からなかったが、そこまでの過程が長くてな」
「土なんかの配合は、確かに過程多いものね」
「いや、魔法だ」
思いもよらない単語に拍子抜けしていると、それを証明するかのようにレイが何かを唱えた。