スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
何か間違ったことを仮に言ってしまったら、逆鱗に触れる可能性だってある。
それは避けたいところではあるが、何も言わないのも気分を害されるし……。
答えを中々言わない私を、強面な顔で覗かれるものだから、自然と背筋がピンと伸びた。
「えっと、その……」
「ルフィアのことを、俺はもっとよく知りたいんだ。正直に言え。今、どう思っている」
全てを見透かしてきそうな瞳に捕えられ、離すことは許されなかった。
しっかりと合った瞳に無性にも鼓動が早くなり、意識していなかったレイとの距離の近さに顔が熱くなってしまう。
私の反応に、レイは顔色一つ変えずに小さくなるほどと呟くと、空いたもう片方の手を顎に添えて何やら考え事をし始め、独りごちる。
「効果の範囲はやはり……」
「あ、あの、どうかした?」
声をかけたのがマズかったのか、眉間にしわを寄せて顔を近づけてきたものだから、驚きのあまり思わず身を引いてしまった。
すかさず逃がすものかと、レイの腕に力が込められる。
「言葉の詰まり、体温の上昇、瞳孔の動き……ルフィア、今俺に対して動揺しているのだろう?」
「へっ?!」
思いもよらない言葉に声が裏返ると、その反応にレイは確信したように口角を上げた。
「無効化とは言えども条件が揃わない限り、そのスキルは発動しないという事か。今の状況下で何がすり抜けて発動しなかったのか……やはり、魔法のように単純ではなさそうだ。まあ、おいおいそれは突き止めていくとしよう」
スキルという単語に、私はレイに反応を観察されていたのだと悟る。