スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
まあ……一部を除いては。
「アルドネさん!今日こそは!僕とこの後お食事でもどうですか?!」
「いや!この俺とデートしよう!」
「ゆっくり寛げる、私の自慢の家にでも来ないかい?」
ああ……今日も羨ましい言葉をポンポンと投げられる師匠が妬ましい。
絶世の美女と言われる師匠の元には、目をハートにさせた男達が毎日のようにやってくる。
「生憎!あたしにはそんな事してる暇があったら、薬を作っていたいのでね。仕事の邪魔するなら帰った帰った!!」
魔法の力で言い寄ってくる男達を外へと放り出すと、注文通りの薬を次から次へと作っていく。
そういう師匠の仕事に対する姿勢も、男達には刺さるだとかなんだとか、風の噂で聞いた事がある。
美しい師匠の姿を横目に、私は注文されていた薬が出来上がったことを知らせる呼び鈴を鳴らす。
「ルフィアちゃんの髪も、今日もまた綺麗ねえ」
ぎっくり腰に効く薬を買いに来たノルエおばあちゃんが、私から薬を受け取りながら褒め言葉を投げてくれた。
それに釣られるように、付き添いで来ていたノルエおばあちゃんの息子のユヅおじさんも賛同してくれる。
「ルフィアの髪は、お月様みたいな綺麗な白銀の色をしているよ」
「ありがとう。そう言ってくれるのなんて、ここの常連さん達だけよ」
そんなことないよと二人は言うけれど、私にはその言葉は受け止められない。
事実、街を歩けば不吉だ、気味が悪いと囁かれ、昨日振られた元恋人にも、同様にそんなことを言われたのだから。