スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「……すまないルフィア。呼び出しが掛かってしまった。サボりたい気持ちも山々だが、ルフィアとの時間を確保するために、やるべき事をやってくる。何か困ることがあれば、遠慮なくユツィーに言ってくれ」
「えっ、あ……うん。なんかドタバタさせたみたいで、ごめんなさい」
「俺の意思でルフィアをここに連れてきたんだ。謝る必要はない」
腰を抱き寄せていた腕の力をほんの少しだけ緩めたかと思えば、もう一度力強く抱きしめてくる。
「レ、レイ?」
「……仕事が終わったら、俺との時間をくれないか?」
「別にいいけど、さっきみたいな実験は……あんまりしてほしくない、です」
実験で変に唆されるなんて受ける側の身にもなって欲しい。
異性に免疫もない私に、さっきまでのレイの行動は心臓が何個あっても足りない。
スキルがあるはずなのに……それが発動していないのはおかしな話だけど。
「分かった。約束する」
あれだけ不機嫌そうな顔をしていたのに、嬉しそうに笑うから、不覚にもまたドキリとしてしまう。
そんな私を置いて、レイはユツィーさんに言われた通り、カイルさんの元へと向かうべく城の中へと戻る後ろ姿に、聞こえないと分かっていながらも、行ってらっしゃいと呟いて見送ったのだった。