スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜




 でも私だって外見だけで判断されては欲しくないし、身の周りの世話をしてくれる僅かな時間ぐらいは、仲良く出来るように話しかけていこう、と思っていた


……のに。



「……」

「……」

「……」

「……」



 苦しい、苦し過ぎる!!


 どうして彼女はずっと私の傍を離れないの?!


 身の周りの世話という時間だけ、ユツィ―がいるものだと思っていたけれど、片時も離れずに傍にいる彼女の無言の圧に負けそうになっていた。 


 ちょっとした部屋の外の観察だったり、部屋にあった本を読んでいたり、ただ時間の潰し方を模索しているだけだと言うのに、常にそこにユツィーが居る。


 外に行こうとすれば日焼けしないように日傘を差してくれたり、本を読む集中力が無くなればどこから持って来たのか分からない栞を渡してきたり……気が利く凄い人だと思うのと同時に、全ての行動を監視されているようで、肩身が狭い。


 これがお金持ちの基本の過ごし方なの?無理、ちょっと耐え切れない。


 窮屈極まりない上に、話しかけてもイエスかノーかの返答しか返ってこないのだ。

 

「あの、ユツィー……ちょっとの間一人の時間をくれない?」

「私は世話係です。御必要な時にすぐ対処できるよう、御傍から離れるわけにはいきません」

「これもダメなのね……」



 思わず溜め息を零してしまい、慌てて口元を抑える。





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