スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ユツィーだって嫌々私の世話係をしているかもしれないんだし、溜め息なんて失礼過ぎる。
咳払いをして誤魔化しながらユツィーを見るけれど、やっぱり顔色一つ変えてない。
そう言う訓練でもさせられていたのかな……表情が本当に読めないったらありゃしない。
師匠なら豪快に笑ったり、私が失敗すれば顔色変えてもの凄く怒ってきたりするのになあ。
仕事をする上で色んな事が起こるし、大変なことだってもちろんあるけど、人と一緒に感情を共有するのは楽しいことなのに。
こうなってくると、ユツィーの無表情以外の表情が気になってくる。
表情は変えられなくてもまずは、多少長い会話ができれば何か探れそうだろうか。
「普段はレイの傍で仕事をしているの?」
「はい」
「ここでの仕事は長いの?」
「六年になります」
「そうなんだ。お城での仕事ってやっぱり大変?」
「いいえ」
やはり淡々としていて、掴みどころがない。
私という人間に不信感を抱いていて、あまり会話したくないのかな……。