スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「私の世話役が不満なら、私からレイに直接言っておくよ。別に一人じゃ何もできないってわけでもないから」
「不要です。マスターの御命令は絶対です」
レイに対する絶対的忠誠心に関しては、すごく素晴らしいものだとは思う。
でも臨機応変にってことが出来ないのは、ちょっとこちらとしても困る。
……もしかして、これって地味な嫌がらせだったりとか?
前に読んだ小説にも、侍女からの嫌がらせを受ける主人公がいた気がする。
でも嫌がらせにしては仕事は完璧だし、何より一つ一つが丁寧で優しい手つきだし。
嫌がらせするんだったら手を抜いて、あからさまなことをしてくるのが普通な気がするけど。
どうしたものかと考えることに時間を費やしていれば、窓の外にはいつの間にか夕焼け空と夜空が混じり合う、綺麗な景色が浮かび上がっていた。