スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ただ初めて会った時は常に真っ直ぐになっていたあの口元は、照れくさそうに笑みを浮かべている。
「ユ、ユツィー……??」
「はい!!」
「本当に……ユツィー?」
「はい!ユツィーでございます!ルフィア様に愛情を頂いて、ユツィーは新しい命を授かりました」
可愛らしい笑顔を浮かべるユツィーは、昨日までの堅苦しい印象はもう何処にもない。
会話だってこんなに受け答えしてくれるし、彼女の意思で考えて動いている。
「私も昨夜はビックリしたんですよ?ルフィア様が、私の名前を呼んで……それに体が反応したんです。胸元の魔法陣が小さく輝いたかと思えば、私は自分の意志と感情を持っていました」
「私がユツィーの名前を呼んで反応したの?」
「はい。空っぽだった私に愛情を注いでくださったから、きっと私はこうして今居るんだと思います」
そんな御伽噺じゃあるましい……そんなことある?
ふと本能がそうさせるように私はプレートを手に取った。
「新芽の息吹……?」
身に覚えのないスキルがプレートに刻まれていて、このスキルによってユツィーに命が宿った……と考えるのが筋だろうか。
首を傾げる私に、ユツィーは細かいことは気にしないと、朝食を勧めてくる。
考えても答えが出るわけでもないし、温かいうちに朝食を摂った方がいいよね。