スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
スキルの効果としては、異性からの好意を持った言葉に対しての翻弄を無効化するというもの。
その他、行動(手を繋ぐなど至近距離での行動)による刺激の排除、甘い誘惑の無効化……だそうだ。
要するに、私のことを好きになってくれた人からの愛を私自ら全て遮断するという、不必要なスキル。
失恋したその日に獲得したスキルは、私の恋を応援しているとは到底思えない。
「昨日の今日で、このスキルを受け入れろなんていう方が無理な話よ……」
「ルフィアがきちんと自分を見てくれる異性を捕まえなかったから、こうなってるんだよ。どうせ流行りの恋愛小説でも読んで、浮かれてたんだろ」
「……」
何故、そんなことまで師匠は分かってしまうんだか。
ええ、そうですよ!
街の年頃の娘達が、キャッキャと騒いでた恋愛小説が気になって読んでみたら、それはもう恋がしたくなりましたとも!
それで、常連さんの中で割と歳の近い男性に声を掛けられて舞い上がって、そのまま向こうの勢いに乗せられましたとも!
今思い出せば……向こうから好きだという言葉は一切言われてない気もする。
それくらい私は恋に恋してたってことよね。
情けないったらありゃしないわ。
「まったく……それなりの年頃だから、憧れるのは分からなくもないが、それにしたって見る目がない」
「うぐっ……」
返す言葉もございません。
グサグサと刺さる言葉の刃が、失恋したての私の心を更に抉っております。
誰かに愛されてみたいと憧れた私には、ちょうどいい戒めになったのかもしれませんね。