スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
変わらない眼差し
*
朝食を採り終えた私はレイに案内されて、彼が拠点と呼ぶだだっ広い一室にやって来た。
ただあまりにも散らかった部屋に、ここは本当に城内なのかと目を疑った。
色々と書き込まれた紙が床に散乱し、積まれていたであろう本達は、雪崩のように崩れている。
深く深く刻み込まれたしわを眉間に寄せて、床に広がる魔法陣を睨みつけるレイに、掃除を促す声掛けは流石に出来ない。
ここまでやって来る途中も、彼は眉間にしわを寄せて、目が合ったら斬られるのではないかという剣幕で廊下を歩くものだから、まるで処刑台にでも案内されている気分だった。
魔法を作ると言っていたけれど、こんな所で作れるのか疑問でしかない。
「ユツィーの魂の根源……魔法陣そのものの改変か?」
何やら独りごちるレイの邪魔をしないようにと、部屋の隅に移動したけれど、トンっとぶつかってしまった積まれた本の塔に見事にぶつかってしまう。