スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
魔女である師匠と共に暮らしていたけれど、歴とした魔法を目の当たりにするのは初めてだ。
興奮して瞳を輝かせている私に、安堵のため息を零すレイにふと我に返る。
「ルフィアに怪我がないならいい」
先程までとは打って変わったレイの優しい表情に、うっと喉が唸る。
人を怖いと思ったのもレイが初めてで、こんなに人が美しいと思うのも初めてだ。
ドキドキする気持ちを抑えて、レイの腕の中から抜け出し怪我がないことを訴えると、安心した様子のレイは少しバツの悪そうな顔をする。
「流石に掃除をしてから招き入れた方が良かったか……」
「ここは、何の部屋なの?」
もう一度部屋を見渡しながら、聞きたかった質問を口にする。
壁一面には天井まで続く溢れんばかりの本達が、所狭しと肩身を寄せて本棚に詰め込まれているし、床にはいくつもの魔法陣が書いたり消されたりした痕跡が残っている。
寛げる寝台も椅子も何も無いことからして、ここは流石に生活の拠点にはしてなさそう……くらいしか、言いようがない部屋。