スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ため息をついて、私の頭を撫で始めた師匠を見つめていると、優しい笑みを向けてくる。
「いいかい、ルフィア。誰が何と言おうと、あたしはあんたのその髪も瞳も、声も好きだ。例え“エルフ”の血が流れていても、姿が人と異なっても、ルフィアはルフィアだ」
その優しい薬草の匂いがこびり付いた手で頬を撫でられて、私は素直にその言葉を受け入れた。
幼い頃の事故で、私の体には人間とは異なる種族――エルフの血が流れている。
そのせいで私は人と違うなりをしている。
それが一番ハッキリと分かるのが、この白銀の髪。
こうなる前は小麦色の癖のある髪だった……はず。あまりにも遠い昔の記憶だから、よくはっきりとは覚えてないんだけど。
人間が暮らす場所とは交わらない種族の血は、極めて稀で、その血が流れている人間はほとんど居ないという。
それでも師匠や、常連さん達は私のことを好いてくれている。
見た目を気にせず、私を一人の人間として接してくれる大切な人達だ。
「それに、力のお陰で大事なご友人様もいるだろう?」
呟きながら店のカウンターの上を見つめると、光の粒が集まったかと思えば、そこには手のひらサイズの青白い羽が生えた少年がそこにいた。