スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
国王様の印象改善計画
*
この実験部屋に足を踏み入れて、いつの間にか窓から差し込む太陽が真上に来ているのに気づいて、随分と長いことここにいることに気づく。
あれから精霊の声が聞こえないレイの代わりに、私がシュマの言葉を伝える通訳者のような立ち位置で、魔法陣作りに取り掛かっていた。
床にペタリと座り込み、描かれる魔法陣をレイの隣りで見つめるだけだど、退屈はしなかった。
シュマも久々に知識を貸し与えるのが楽しいのか、魔法陣作りにのめり込んでいた。
何度も床に書いてはシュマとの討論を繰り返し、もう少しで完成が近いという所で、レイの動きが止まる。
「そこの文字配列の組み合わせは……あれ?レイ?」
シュマの言葉を伝えようとそっとレイの肩に触れるけれど、そのまま私の肩にもたれ掛かるように倒れてきた。
支えきれなくなった私は、そのままレイの頭を自分の膝の上に乗せ、彼の顔を慌てて覗き込んだ。
どこか具合が悪いのかと心配したけれど、規則正しく呼吸をしながら寝息を立て寝ているのを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「寝ちゃったみたいだね」
シュマに視線を動かすと、シュマも疲れたのかウトウトしていた。
二人とも子供のように無邪気にはしゃいでしまったせいで、体力が底をついたみたい。