スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
レイなんか特に、あんな目の下にクマを作って来た程なんだから、無理もない。
寝る間も惜しんで仕事を終わらせてきたみたいだし、これで眠くならない方が心配だ。
もう少し早めに気づいてあげて、睡眠を促せば良かったと後悔していると、部屋の扉が叩かれる。
「レイ様、入りますよ」
聞き覚えのある声の主が、ゆっくりと扉を開けて入ってくると、私がいることに少し驚いた様子で目を見開いたけど、すぐにそっと微笑んだ。
「失礼致しました。我が主がどうやら振り回したようで」
「カイルさん、こんにちは」
「僕の名前を覚えていてくれたんですね。ありがとうございます。ご挨拶が遅れました。レイバート様に仕える、カイル・ハヴェットと申します」
一つお辞儀をしてから、散らかった床をものともせずに私達の元へとやって来る。
「随分とぐっすり眠ってらっしゃいますね」
私の膝の上で眠るレイに、やれやれとため息をつくカイルさんだけど、その表情には微かに安堵の表情が混じっている。
「こんな無防備に眠るレイ様は初めて見ました」
「そうなんですか……?」
「いつもなら刺客に備えて、複雑な魔法を掛けておくんです。まあ……ここ最近仕事が増えて睡眠を取る時間すら無かったんですけどね」
「刺客……」
物騒な言葉に不安の眼差しを、思わずカイルさんに向ける。