スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
でも話して、一緒に過ごす中で彼の優しさに触れた。
レイはちっとも冷酷非道でも、恐ろしい人でもない。
「……レイ様は、隣に置くべき人物を見つけられたようですね」
「え?」
小さく呟いたその言葉は聞き取れなくて、聞き返そうとしたけれどカイルさんが首を横に振る。
「国の一番上に立つ者としての威厳を守るため、必要以上に人を傷つけないため……レイ様は様々な想いで仮面を被っています。この戦争が終わっても、きっとこの方は、仮面を被り続けるでしょう」
「それは、どうして?」
「分からないからですよ……仮面の外し方が。死ぬまで冷酷非道の国王様と呼ばれ、眉間にしわを寄せて生きるしかないと、この方は思っていますから」
「誤解されたままなんて悲しいのに……」
睫毛にかかる長い髪をそっと撫でて、穏やかな寝息を立てて眠るレイを見つめた。
自分を偽って生き続けなくても、私に向けるその優しさに国民の皆にも気づいて欲しい。
「ルフィアさん、どうか我が主の仮面を外してはくれませんか?」
「どうやってですか?」
突然の申し出に困惑気味にそう尋ねると、カイルさんは優しく笑って見せた。
「そのままレイ様のお傍にいてくれるだけでいいんです。ルフィア様が来てから、僅かながらですが角が取れてきたんですよ。きっと貴方様の優しさで仮面を取る勇気を貰えるはずです」
「私は別に何も……」
「いいえ。レイ様に逃げることも怯えることなく、こうやって時間を共に過ごしているではありませんか。それだけで、レイ様は少しずつ変化していくんです。仕事もルフィア様との時間が欲しければ、しっかりと終わらせてから、と言うとちゃんとやってくれました」
子供を見守る親のような眼差しで眠るレイを見つめるカイルさんは、もう一度しっかりと私を見て言った。