スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



「どうかレイ様の仮面を外して、国民の皆が持つレイ様の印象を、一緒に変えてくれませんか?僕も何かあれば喜んでいお力をお貸し致します」


 確かに、この国の一番上で立つ人間には、皆から愛されていて欲しい。


 ――過去と同じ過ちを繰り返すような、王様ではいて欲しくないから。



「分かりました。私なりにレイの仮面を外せるように頑張ってみます」


「ありがとうございます。では、婚約者という立場を活かして、街でレイ様と仲睦まじい様子を国民に見せつけてやってください」



 カイルさんの突拍子もない提案に、思わず膝の上からレイの頭を落としそうになる。



「なっ!なんでそうなるんですか……!」


「しーっ。レイ様が起きてしまいますよ」



 バクバクする心臓を抑えながら、大きな声を出さないよう気をつけて声を絞り出す。


「それとこれは関係ないんじゃ……!」


「関係ありますよ。迎え入れた可憐な婚約者によって、悪魔との契約は白紙に戻り、そのお陰で人間の心を取り戻し心優しい賢君になりました……なんて筋書きは民衆受けするに決まってるでしょう?」


 街の女性たちには確かに受けそうな話ではあるけへど、レイのお相手がこの私って……それもそれで大丈夫なのかな。







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