スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
晴れた日の青空のような髪を、キラキラ輝かせながら、琥珀色の瞳で私のことを覗き込むようにこちらへとやって来る。
「ボクのこと呼んだー?」
「シュマ。あんたからも励ましの言葉を投げてやってくれないか」
シュマ……それが彼の名前であり、私が生まれて初めて出会った精霊。
本来、精霊はエルフと共に生活しており、その姿や声を聞き取ることが出来るのはエルフのみ。
中には師匠のように魔力に長けた者は、精霊の姿を見ることが出来るらしいけど。
元々普通の人間だったけど混血になった私は、精霊の姿を見ることが出来るし、精霊の持つ知識を共有することができるようになった。
その際に獲得したのが、【木霊の呼び声】というユニークスキル。
そんな私のユニークスキルはきちんとプレートに刻まれていて、これ以上おかしなスキルが増えることはないと思っていたのに。
失恋によって獲得してしまった私のスキル。
これでへんてこりんなスキルが二つになってしまった……というわけだ。
「励ましも何も、そういうのを自業自得っていうんじゃないの?」
「シュマの中には、思いやりって言葉はないわけ?!」
「ぶふっ」
「師匠もここまで慰めておいて、そこで笑うってことは、少なからずそういう気持ちもあるってこと?!」
目尻に涙を薄らと浮かべる師匠は慌てて、背中を向けて笑いを堪えようと必死になるけれど、もう遅い。
まったく……人が傷ついているっていうのに、脳天気な二人だ。