スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
第一声は何と声を掛けるべきか。
お仕事お疲れ様?
それとも、今のやり取りを指摘するべき?
悩む私だったけれど、その前に私に着いてくれているユツィーが先を越した。
「マスター!ルフィア様の前じゃないからって、その態度は一体なんですか」
「何の話だ」
「とぼけないで下さい。ルフィア様が声を掛けようとしていたのに、貴方の悪魔のような顔を見て身動きが取れないでいましたよ」
率直な意見に、彼の眉がピクリと動く。
「ルフィア……その……」
動揺を隠しきれていないレイに思わず笑うと、彼の傍へと駆け寄った。
顔を覗き込み、眉間のしわがないことを確認して、私は頷いて見せた。
「仕事の邪魔をしちゃいけないと、声を掛けるのをやめただけよ」
その言葉に明らか安心した素振りを見せるものだから、笑いが込み上げてきそうになるのをぐっと堪えた。