スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
冷酷非道なんて仮面、この人には被って欲しくないな。
こんなにも穏やかな人なんだもの。
「これから庭園に行こうかなって思ってたの。水やりは私とシュマでやるわね」
ここに来てからというもの、庭園いじりが日々の日課になっていた。
最初はやることが何もないと暇を持て余していたけれど、レイが快く私に庭園の出入りを許可してくれて、庭園の一角で土いじりを始めたのだ。
「楽しそうで何よりだ」
優しそうに笑うけどレイの顔には、微かに疲れが溜まっているように見える。
それもそのはずで、彼は公務などの沢山の職務に追われていて、今日もこうして会うのは実は三日ぶりだったりもする。
レイの仕事が忙しいせいで、彼が私をここに連れてきた理由である、魔法の研究は残念ながら出来ていない。
それが気に悩んでいるのか分からないけれど、会えない時間は手紙を送ってくれたり、魔法が掛けられた花なんかを送ってくれる。
時間がある時に寝て欲しい気持ちが強いけど、彼の優しさにそれをやめてなんて事は言えない。
「レイはちゃんと寝れてるの?」
「特に問題ない。ルフィアの顔を見て元気が出た」
「そ、それは良かったわ」
「顔が赤いぞ……もしや、ときめいているな?なるほど、つまり――」
「いっいいから!早く仕事に戻らないと、魔法の研究のお預けだってカイルさんに怒られるわよ!」
こうして時折からかわれるようにスキルの効果を確かめる言動に、謎の激しい動悸がするようになってしまった。