スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「いいんですか?私なんかが行って。お邪魔になると思うんですが」
残ったカイルさんにおずおずと聞くけれど、カイルさんもまたにこやかな笑顔を浮かべていた。
「落ち着いている今というタイミングを逃したら、次の視察はいつになるか分かりませんから。計画を実行する、またとない機会ですよルフィアさん!」
「な、なるほど……?」
「思う存分、レイ様と仲睦まじくじゃれあってくださいね」
レイと同じく楽しそうにしているカイルさんを見て、顔を引き攣らせるしかない。
冷酷非道の仮面を取るために努力はするつもりではあるけれど、本当の婚約者ではないのに。
ユツィーに助けを求めるけれど、もう既に遅い。
「厄介な御二方ですね……本当に。ルフィア様、くれぐれもお気をつけて行ってらっしゃいませ」
聞こえているのかいないのか、ユツィーの言葉にも顔色一つ変えずに、カイルさんは私を優しくエスコートする。
胸が熱くなる感覚に翻弄されないよう、私は私がやるべき事を考えてカイルさんに促されるように、城の前で待つ馬の元へと向かった。