スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
馬に乗りなれない私のことを支えてくれる腕は、こんなにも優しくて温かいのに。
「見ろ、あの子が噂の生贄だ……」
「新しく契約した悪魔の娘ではないのか?」
「見た事もない髪の色ね。不吉だわ」
い、生贄……?新しい悪魔の娘……??
自分の耳を疑ってしまうような言葉が聞こえてきて動揺を隠せないでいると、上から舌打ちが降ってきた。
「俺に対する言葉ならまだしも、ルフィアに対する侮辱など……!」
「落ち着いて、レイ!無理もないよ。私、こんな見た目だし、それにいきなり婚約者を迎え入れたのを知っているのは、あの舞踏会に参加した人達だけなんだから。だからここは、レイの口から事実を言えばいいのよ」
「……」
「今後の事も考えて、婚約者候補者って事にしておけば大丈夫よ」
唸り声を上げて威嚇するような姿勢は、ますます民から怖がられるだけ。
噂は悪いように広がってしまうものだから、当事者本人の口からちゃんと説明すれば分かってくれるはず。
仮面を被ったままのレイには、ありもしない噂までもまとわりついていて、訂正もしなかったからそれが大きくなってしまっている。
「貴方は本当に優しい人よ。それを私は証明してあげたいの。私の事は気にしないで」
本当は温かくてとても優しい人ってことを、私は皆に知って欲しい。自分が暮らすこの国を守ってくれている、この国王様の事を。