悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ぎゃあぎゃあ騒いでいる中、二人の護衛騎士が戻った。彼らは「何やってんの……?」と状況がすぐには呑み込めない様子だ。
「よし、分かった。つまりお前は、ミッシェル嬢の憂いの原因を探して、幸せなところをたくさん見たい、と。そういうわけだろう?」
なぜか、脅迫するような威圧感でもって確認された。
でも、良かった、彼は理解してくれたみたいだ。ひとまず推しが一番大事なところであるアメリアは、こくこくと頷いてみせた。
「なら、俺が協力する」
唐突に彼の口から出たその提案に、アメリアはピキリと固まった。
「な、何故ですか? え? 一体なんで、どうして」
「なんか面白くないからだ」
面白くないって……そう困惑して考えたアメリアは、ふと、エリオットとバッタリ遭遇した時のことを思い出した。
今日、彼は教会視察でヒロインと出会うはずだったのだ。話に行くのなら付き合うと言われて押し通されたが、少し無理をしてでも、彼を出掛けさせればよかったと後悔した。
つまり彼は、暇をしているから協力を申し出ているのだろう。
だって本来、本日からずっと、ヒロインのことばかり考えて余暇が使われるはずだった。でも今の彼は、明日以降も時間が一部余っている状況で。
――今日、ヒロインと出会わせなかったの、全然よくなかった。
そうすると暇をしている彼に、ミッシェルと自分の時間に割って入られて、邪魔をされてしまうだろう。
エリオットの意識を、どうにかヒロインに向けさせなければならない。
アメリアは、早急にどうにかしなければと思った。頑張って、彼を教会へと行かせてヒロインと出会わせてくっつけよう。
けれど、教会視察へは、代わりに〝ワンコ系の攻略キャラ、ヒューゴ〟が行かされていて――。
エリオットに他者に目を向けさせるという作戦も、ヒロインのお相手も、既に手遅れであるのにアメリアは気づいていなかった。
「よし、分かった。つまりお前は、ミッシェル嬢の憂いの原因を探して、幸せなところをたくさん見たい、と。そういうわけだろう?」
なぜか、脅迫するような威圧感でもって確認された。
でも、良かった、彼は理解してくれたみたいだ。ひとまず推しが一番大事なところであるアメリアは、こくこくと頷いてみせた。
「なら、俺が協力する」
唐突に彼の口から出たその提案に、アメリアはピキリと固まった。
「な、何故ですか? え? 一体なんで、どうして」
「なんか面白くないからだ」
面白くないって……そう困惑して考えたアメリアは、ふと、エリオットとバッタリ遭遇した時のことを思い出した。
今日、彼は教会視察でヒロインと出会うはずだったのだ。話に行くのなら付き合うと言われて押し通されたが、少し無理をしてでも、彼を出掛けさせればよかったと後悔した。
つまり彼は、暇をしているから協力を申し出ているのだろう。
だって本来、本日からずっと、ヒロインのことばかり考えて余暇が使われるはずだった。でも今の彼は、明日以降も時間が一部余っている状況で。
――今日、ヒロインと出会わせなかったの、全然よくなかった。
そうすると暇をしている彼に、ミッシェルと自分の時間に割って入られて、邪魔をされてしまうだろう。
エリオットの意識を、どうにかヒロインに向けさせなければならない。
アメリアは、早急にどうにかしなければと思った。頑張って、彼を教会へと行かせてヒロインと出会わせてくっつけよう。
けれど、教会視察へは、代わりに〝ワンコ系の攻略キャラ、ヒューゴ〟が行かされていて――。
エリオットに他者に目を向けさせるという作戦も、ヒロインのお相手も、既に手遅れであるのにアメリアは気づいていなかった。