悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「いいえ。私、どうにか考えてみます。クラーク様だってそうです。ミッシェル様が頑張りたいというのなら、私達が精一杯ご協力しますから、だから、少し考えてくださいませんか?」

今のミッシェルにとって、人生で一番の大きなことだろう。アメリアはすぐの返答は求めず、その場を侍女達に任せてクラークと共に部屋を出た。



――と、啖呵を切ったものの。

部屋を出て扉を閉めたところで、ミッシェルを励ましていたアメリアの気丈な態度も崩れた。まだ何も考えていない。

「どうしたらいいのかしら」

両頬に手当てるアメリアを見下ろし、それからクラークが少し考える。

「第二王子殿下の方で、第一王子殿下のお気持ちを聞いてくださるとのことでしたから、あちらの反応次第にもなるかと思いますが」

「うぅ、やっぱりそうよね。どうなんだろう!?」

「落ち着きなさい。ミッシェル様から話を聞き出し、そうしてお力になると励ましたお前は偉かったですよ。先日の殿下達の様子からすると、向こうにも好意があるのは確かでしょう」

彼よりも随分低い位置にある頭を、ムードもなくポンホンと手であやされたアメリアは、そんなクラークを見上げた。

「じゃあ、ミッシェル様の恋か叶う可能性はある……?」

「お前、ミッシェル様のことになると、途端に涙腺が脆くなりますね。ひとまずは落ち着きなさい」

< 168 / 230 >

この作品をシェア

pagetop