悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ふむふむとしたり顔で頷いているアメリアを、クラークが訝って秀麗な眉を寄せる。その視線に気づいた彼女は、以心伝心したわと言わんばかりに頷いた。

「分かっていますわ。クラーク様。私、少し考えてみたのですけれど、ミッシェル様の心強い助っ人になってくれそうな方々が浮かびました。まずは話を聞いてみようと思います!」

そう告げるな否や、アメリアは早速明日にでも!と考えて「忙しい中ありがとう! また後で知らせますからーっ!」と叫びながら走り出していた。

残されたクラークが、相変わらずの真面目な顔で一つ頷いた。

「お前は全く分かっていませんよ。私は、何かとんでもない勘違いでも考えていたのではないかと感じて、確認しようとしていたのですが」

第二王子殿下エリオットの婚約者について、日増しいい噂が耳に入ってきている状況だ。

たとえば社交辞令でも踊りたがらなかった殿下と、「本命です」という意味合いのある三曲通しの、仲睦まじな様子のダンスを披露したこと。両陛下は大変安心した様子であったし、第二王子派の家臣らからも「願っていた恋愛結婚のようで良かった」と感激の声まで上がっていた。

宰相の娘である神秘的な令嬢ミッシェルに笑顔を与え、彼女と擦れ違いがあったらしい後宮の者達との仲をとりもった。そして王宮の女性派閥にも、平穏と均衡といういい影響を与えている。

――などなど、話題は尽きない。

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