悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「よく分からないのが、ファンクラブ同士が結束して、王弟妃に支持しているということでしょうか」

首を捻ったクラークは「――まぁ、いいか」と呟くと、仕事に戻るべくアメリアとは違う方向へ歩き出したのだった。



◆§◆§◆



その翌日、正午を少し過ぎた頃。

アメリアは、ややひらひらが多めの外出用ドレスを選んで登城した。まずは一カ所目に立ち寄った後、警備兵の一人にお願いしてミッシェルへ伝言を頼んだ。

「お前、本当にするつもりですか?」

昨日の今日であるというのに、つい先程、近衛騎士のサロンに立ち寄ってからついてきていたクラークが、隣を歩きながらアメリアへ確認した。

「『物理的に記憶を飛ばされそうになった』と聞いたのは、最近ですが?」

「落ち着いて話せば、恐らくは王宮で一番のアドバイザーだと思うんです」

アメリアは、きっと大丈夫という思いで大きく頷いて答えた。

実は昨日、真面目なことで折り入って話があり、アドバイスをくれないかと『白薔薇の会』の令嬢達に知らせを出していた。

そして、こうして特別サロンを目指しているところだ。あとで向かって報告するとは、警備兵に頼んでミッシェルに伝えた。

――行動するならば、善は急げ、だ。

エリオットが、第一王子マティウスに気持ちを確認するまでに、アメリアは考えをまとめたいと思っていた。

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