悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「でも、クラーク様までついてきてよかったんですか? この前、勝手に動くなと言われていたから、いったん報告しただけなんですけど」

当初は一人で行く予定だった。まずは話を聞いてくる、あとでミッシェル様のところに一緒に寄れたら……と情報共有がてら話したら、ついてきたのだ。

すると、アメリアの視線の先で、クラークが眼鏡を押し上げた。

「話は、以前に聞いて分かっていますからね。何かあった時は、お前を守りますよ。ミッシェル様の件でもありますから、私が付き合わない方がおかしいです」

なるほど、つまりは羨ましかったのか。

アメリアは納得すると、仲間外れにはしないからね同志!という思いでアイコンタクトを送ってみせた。彼は、またしても妙な表情を浮かべていた。



後宮管轄だという例のサロンに向かってみると、先日と同じく、そこには護衛中のムキムキ女装男子達の姿があった。

クラークが、迎えた彼らと正面からじっと見つめ合った。

彼らも、至極真面目ないかつい顔で、じーっと冷徹眼鏡な美貌の近衛騎士隊長を見つめる。

「何をしているのよクラーク様? 中に進まないの?」

つい、アメリアが友達向けの素の口調で話しかけると、クラークと男達のよく分からない無言の見つめ合いは終了した。

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