悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「まずは行動あるのみです! 私達がサポート致します!」

アメリアは、クラークと共にミッシェルに力強く約束した。



◆§◆§◆



これからについて、アメリア達が話し合った日の夜。

「君からの呼び出しなんて、珍しいね」

寝室から抜け出した第一王子マティウスが、消灯された王族の私室の一つのテラスに出て、夜風にあたっていた。

振り返った視線の先にいたのは、向かってくる第二王子エリオットの姿だった。歩み寄りながら、彼はセットもされていない髪をかき上げる。

「まぁな。一緒に勉強していた頃くらいか」

忙しさが始まってからは、できるだけ休ませようと思っていた。素直じゃない彼はそう続けず、兄のいるテラスの柵にもたれかかる。

「単刀直入に聞くが、お前、宰相のところのミッシェル嬢が好きだろ」

直後、そう告げられたマティウスが「ごほっ」と咽た。

「……昔から思っていたけど、君、気遣いの間を置くことをしないよね」

「兄弟の間で必要があるのか? お前は俺の兄で、俺はお前のたった一人の弟だ」

相変わらずブレない精神で言い返されたマティウスが、柔らかな苦笑を浮かべて「確かに」と答え、夜の景色に目を向ける。

「これまでもずっと縁談の話を遠ざけている。公務を始めてからパーティーでも滅多に踊らなくなったのは、ミッシェル嬢がいたから、なんじゃないのか?」

エリオットが続けて尋ねた。

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