悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
そう、アメリアは説明をシメた。

それで話は終わりだ。そのまま退出の流れになるだろうと思っていると、エリオットが何も言わずじっと見つめてきた。

「どうかされましたか? 何か、他に確認したいことでも?」

尋ねた途端、エリオットが不意に歩み寄った。

「聞き出してきたぞ」

「へ?」

そう言われたかと思ったら、腰を引き寄せられ、あっという間に顎に添えられた指で上を向かされていた。

唐突のことで、理解が追いつかない。アメリアは心臓がバクバクいうくらい驚いて、近くから見つめてくる美しいエリオットの顔にドキドキした。

「ご褒美はないのか?」

「ご、ごごご褒美……?」

つい、声が裏返ってしまう。

エリオットが更に覗き込んできて、顎に添えられている指先が唇をなぞった。まさかと察したアメリアは、かぁっと頬を染めた。

「き、キスはしないって約束したじゃないですかっ」

「愛情表現だ」

「表現が過激すぎます!」

じっと唇を注視されていて、アメリアは慌ててそう言い返した。

「これくらい普通だぞ。十八歳の男の健常な反応をナメるなよ」

それを、十六歳を迎える前の女の子に言う!?

先日、告白したばかりだというのに、エリオットがぐいぐいくる状況にたじたじになった。

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